arumumuの投稿 (08/03/2010)
Itmediaの記事によれば米EvernoteのCEO、Phil Libin(フィル・リビン)氏は次のように発言したようだ。「われわれのゴールは、ユーザーの脳を拡張すること。」
その発言は 「人間の感覚や思考の能力を拡大・増幅することによって、自然的世界をより高度に支配・制御するような補綴的装置」という観点からは非常に魅力的で独特の高揚感をもたらし、有無を言わず飛びつきたくなるような言葉に聞こえる。しかしそれは昨今話題となっているAR (Augmented Reality)と同様、いったい脳のどのような部分について拡張が可能なのかについてよく考えておくべきだと思う。
私たちはいつでも意識的にしろ無意識的にしろ非常に膨大な情報にさらされている。オーディオビジュアル時代と呼ばれる現代においても、視覚のみならず聴覚や触覚をはじめとした感覚も常に何かを感じていて、視覚情報と強く結びついて記憶を形成している。
例えば最近話題の電子書籍について明和電機の土佐氏がおもしろいことをブログに書いている(テキストと画像を引用)。
「本にできて、キンドルにできないこと」をツイッターでつぶやいたら、面白いアイデアをみなさんからもいただきました。面白いのをいくつかイラストにしてみた。 (…)
わかるなあ、この男のロマン。「本をくりぬいてピストルを隠せない」です。
これも笑った。「力じまんで引きちぎれない」。
まあ、キンドルも引きちぎろうと思えばできますが、その前に、心が引きちぎれそうになります。あんな高い商品。そのほかにも、
「パラパラアニメができない」「袋とじができない」「読んだあと焚き火にくべれない」「床が抜けない」「行間に鼻毛を植えれない(漱石)」「書斎のインテリアにならない」「早弁の弁当隠せない」「著者サインをもらえない」「食べて覚えられない」「ブックオフに出せない」「出入りのドスよけにならない」「鍋敷にならない」「丸めてゴキブリをたたけない」「屋根を葺けない」「読み終わって、いきおいよくパタン!ができない」「筋トレできない」
などなど、秀逸なアイデアをいただきました。
・・・・しかし、こうして見ると、本の中身に関してのアイデアがひとつもない!!
本とは何か?を考えさせられました。
ふざけているようだけれども、いまの電子書籍は読み物としてのコンテンツにしか焦点が当たっていない一方で、紙媒体の書籍はコンテンツ以外の部分で、つまりコンテンツを読むという視覚的刺激以外の刺激を非常に多く人に与えていることを如実に表している。
このような観点から考えると、Evernoteをどのように使えばEvernoteがより効果的に「脳を拡張できる」のかが少し見えてくるのではないだろうか。例えば視覚以外の部分にもリンクしている情報がより多い場合には、写真やテキストだけをアップしても後からなぜそれをアップしたのか考えないといけない。食べ物の写真などは香りの情報がより多いほうが、後から思い起こすのが楽だろう。現実的にはそのような視覚以外の情報を全てタグで示すことはできないし、そんなことが仮にできたとしても今度はタグの量が膨大すぎるか、他の要素と重複しすぎてタグの意味を成さないだろう。しかしそれでは結局アップした情報の文脈を自分の脳が記憶することになり、到底「拡張」とは言えない。
今回はたまたまEvernoteを引き合いに出したけれども、それがiPhoneアプリでも構わない、何か新しい媒体でも構わない、上述のような部分について作る側だけではなく、使う側も意識的になることは「脳の拡張」を実現する上でより重要になってくる考え方だと考えている。
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